企業型 DC の仕組みと税制メリット
企業型確定拠出年金 (企業型 DC) は、企業が毎月掛金を拠出し、従業員が自分で運用商品を選んで運用する年金制度です。掛金の上限は他の企業年金がない場合は月額 55,000 円、ある場合は月額 27,500 円です。企業が拠出する掛金は全額損金算入され、従業員の給与所得にも算入されないため、社会保険料の算定基礎にも含まれません。
マッチング拠出制度がある企業では、従業員が企業の掛金に上乗せして自己負担で拠出できます。この自己負担分は全額所得控除の対象となり、iDeCo と同様の節税効果があります。年収 600 万円の会社員がマッチング拠出で月 10,000 円を追加した場合、所得税と住民税を合わせて年間約 36,000 円の節税になります。
運用商品の選び方と配分の考え方
企業型 DC で選べる運用商品は、元本確保型 (定期預金、保険) とリスク性商品 (投資信託) に大別されます。60 歳まで引き出せない長期運用であることを考えると、若い世代ほど株式比率を高めた積極的な配分が合理的です。30 代であれば外国株式インデックス 60%、国内株式インデックス 20%、外国債券 10%、国内債券 10% といった配分が一つの目安です。
運用商品を選ぶ際に最も重視すべきは信託報酬の低さです。インデックス投資の比較ガイドで詳しく解説されているように、信託報酬が年 0.1% 違うだけで 30 年後の資産額に数十万円の差が生まれます。元本確保型は名目上の元本は保証されますが、インフレを考慮すると実質的に目減りするため、全額を元本確保型に配分するのは避けるべきです。
転職・退職時のポータビリティと受取方法
転職先に企業型 DC がある場合はそちらに資産を移換できます。転職先に制度がない場合や、フリーランスになる場合は iDeCo に移換します。移換手続きを 6 ヶ月以内に行わないと、国民年金基金連合会に自動移換され、運用されないまま管理手数料だけが差し引かれる事態になるため、速やかな手続きが重要です。
受取方法は一時金、年金、またはその併用から選べます。一時金で受け取ると退職所得控除が適用され、勤続年数に応じた非課税枠があります。退職金の受取方法と税金の解説書を参考に、自分の状況に最適な受取方法を検討してください。
企業型 DC を最大限に活かすためのチェックリスト
まず自社の企業型 DC の制度内容を確認しましょう。人事部門に問い合わせて、掛金額、マッチング拠出の有無、選択できる運用商品のラインナップ、信託報酬の一覧を入手してください。多くの企業では入社時にデフォルト商品 (元本確保型) が設定されたまま放置されているケースが多く、運用商品の見直しだけで将来の受取額が大きく変わります。
次に、マッチング拠出が可能であれば上限まで拠出することを検討してください。所得控除による節税効果は確実なリターンであり、投資のリスクとは無関係に得られるメリットです。年 1 回は運用状況を確認し、当初の資産配分から大きく乖離していればリバランスを実施しましょう。50 代に入ったら株式比率を段階的に下げ、受取時期に向けたリスク調整を始めることも重要です。