ホームカントリーバイアスとは
ホームカントリーバイアスとは、投資家が自国の資産に過度に集中投資してしまう傾向のことです。日本の個人投資家の多くは、保有資産の大半を日本株や日本円建ての預貯金で占めています。しかし、日本の株式市場の時価総額は世界全体の約 5〜6% にすぎません。資産の 90% 以上を日本に集中させることは、世界経済の 94% を無視していることと同義です。
詳しくは 分散投資の解説書 も参考になります。
この偏りは、馴染みのある企業に安心感を覚える心理的要因と、日本語の情報が入手しやすいという実務的要因から生じます。しかし、合理的な資産配分の観点からは、世界の GDP や時価総額の比率に応じた分散が望ましいとされています。
日本株集中投資のリスク
日本株に集中投資するリスクを、具体的な数値で確認しましょう。日本の GDP は世界全体の約 4% (2024 年時点) であり、経済規模に対して株式市場の比率はやや高いものの、米国 (世界の時価総額の約 60%) と比べると圧倒的に小さい市場です。
- 人口減少リスク: 日本の生産年齢人口は 1995 年をピークに減少を続けており、2050 年には現在の約 7 割に縮小する見通しです。労働力の減少は経済成長の制約要因となります。
- 長期停滞の実績: 日経平均株価は 1989 年末の 38,915 円を頂点に、その水準を回復するまで約 34 年を要しました。同期間に米国の S&P 500 は約 14 倍に成長しています。
- 自然災害リスク: 日本は地震・台風・火山噴火などの自然災害リスクが高く、大規模災害は経済活動と株式市場に甚大な影響を与えます。
- 通貨リスクの裏返し: 日本株のみの保有は、円の価値下落に対する防御手段を持たないことを意味します。円安が進行した場合、海外資産を持たない投資家の実質的な購買力は低下します。
全世界株式インデックスの構成と地域別リターン
全世界株式インデックス (MSCI ACWI) は、先進国 23 カ国・新興国 24 カ国の約 2,800 銘柄で構成されています。地域別の構成比率は、米国が約 62%、欧州が約 15%、日本が約 5%、新興国が約 10%、その他が約 8% です (2024 年時点)。
過去 20 年間 (2004〜2024 年) の地域別リターンを見ると、米国株式が年率約 10.5%、全世界株式が年率約 8.5%、日本株式が年率約 7.0%、新興国株式が年率約 6.5% でした。どの地域が最も好調かは時期によって入れ替わるため、特定の地域に賭けるよりも幅広く分散するほうが安定したリターンを期待できます。
為替リスクとの付き合い方
国際分散投資では為替変動の影響を受けます。たとえば米国株に投資した場合、株価が 10% 上昇しても同時に円高が 10% 進めば、円建てのリターンはほぼゼロになります。しかし、長期的に見ると為替変動はリターンに対して中立的であり、20 年以上の運用期間では株式のリターンが為替変動を大きく上回る傾向があります。
為替ヘッジ付きの投資信託を選ぶ方法もありますが、ヘッジコスト (日米金利差に相当) が年 3〜5% かかる場合もあり、長期投資ではヘッジなしのほうがトータルリターンで有利になるケースが多いです。為替リスクを過度に恐れず、時間分散と地域分散を組み合わせることが、国際分散投資を成功させる鍵です。当サイトのシミュレーターで、異なる想定利率での資産推移を確認してみてください。
全世界株式の解説書 も参考にしてください。