医療費控除の対象は想像以上に広い

医療費控除は、1 年間に支払った医療費が 10 万円 (または総所得金額の 5% のいずれか低い方) を超えた場合に、超過分を所得から控除できる制度です。控除の上限は 200 万円です。対象となる医療費は病院の診察代や薬代だけではありません。通院のための交通費 (公共交通機関)、入院時の食事代の自己負担分、歯科の自費治療 (インプラント、矯正)、レーシック手術、不妊治療の費用なども含まれます。

見落としがちなのは、生計を一にする家族全員の医療費を合算できる点です。共働き夫婦の場合、所得が高い方が申告したほうが節税効果は大きくなります。年収 800 万円の人が 30 万円の医療費控除を受けると、所得税率 23% + 住民税率 10% で約 66,000 円の還付が見込めます。この還付金を毎年投資に回せば、10 年で約 83 万円 (年利 5% 複利) の資産になります。

セルフメディケーション税制との賢い使い分け

2017 年から始まったセルフメディケーション税制は、特定の市販薬 (スイッチ OTC 医薬品) の購入額が年間 12,000 円を超えた場合に、超過分 (上限 88,000 円) を所得控除できる制度です。医療費控除との選択適用のため、どちらか一方しか使えません。病院にあまり行かないが市販薬をよく購入する人は、セルフメディケーション税制のほうが有利になるケースがあります。

判断の目安は、医療費の総額が 10 万円を超えるかどうかです。セルフメディケーション税制の解説書で詳しく説明されているように、医療費が 10 万円未満でも OTC 医薬品の購入額が 12,000 円を超えていれば、セルフメディケーション税制で控除を受けられます。対象となる医薬品にはパッケージに共通識別マークが表示されているので、購入時に確認する習慣をつけましょう。

控除で浮いた税金を投資に回す仕組みづくり

医療費控除による還付金は、確定申告後 1-2 ヶ月で指定口座に振り込まれます。この還付金を自動的に証券口座に入金し、投資信託の積立に充てる仕組みを作ると、節税と資産形成を連動させることができます。毎年の還付金が 5 万円だとしても、年利 5% で 20 年間複利運用すれば約 165 万円になります。

医療費の領収書は 5 年間の保管義務がありますが、e-Tax で申告すれば添付不要です。マイナポータルと連携すると、医療費通知情報が自動で取り込まれ、入力の手間も大幅に削減できます。確定申告と節税テクニックの実務書を手元に置いておくと、毎年の申告がスムーズに進みます。

医療費控除を資産形成に結びつける具体的な手順

まずは今年 1 年間の医療費の領収書を集め、合計額を計算してください。10 万円を超えていれば医療費控除、超えていなくても OTC 医薬品の購入額が 12,000 円を超えていればセルフメディケーション税制の対象です。e-Tax とマイナポータルを連携させると、医療費通知情報が自動で取り込まれ、申告の手間が大幅に減ります。

還付金が振り込まれたら、その全額を NISA 口座の積立投資に回す仕組みを作りましょう。毎年 5 万円の還付金を年利 5% で 20 年間運用すれば約 165 万円になります。医療費の記録は家計簿アプリやスプレッドシートで管理し、年間の医療費を常に把握しておくことで、控除の申請漏れを防げます。小さな節税の積み重ねが、長期的には大きな資産差を生みます。