資産形成の初期は貯蓄率がすべて
資産形成を始めたばかりの段階では、運用利回りの差よりも毎月いくら投資に回せるか (貯蓄率) のほうが資産額に圧倒的に大きな影響を与えます。たとえば月 3 万円を年利 3% で運用した場合と、月 5 万円を年利 3% で運用した場合、10 年後の資産額はそれぞれ約 419 万円と約 699 万円です。利回りは同じでも、貯蓄額の差がそのまま資産額の差になります。
一方、月 3 万円を年利 3% で運用した場合と年利 7% で運用した場合、10 年後はそれぞれ約 419 万円と約 518 万円です。利回りが 4% も違うのに、差額は約 99 万円にとどまります。投資額を月 2 万円増やすほうが、利回りを 4% 上げるよりも効果が大きいのです。
貯蓄率と利回りの影響度を数値で比較
この関係をさらに詳しく見てみましょう。資産 0 円からスタートして 5 年後の資産額を比較します。月 3 万円・年利 5% なら約 204 万円、月 5 万円・年利 5% なら約 340 万円、月 3 万円・年利 10% なら約 232 万円です。貯蓄額を 67% 増やす (月 3 万円 → 5 万円) と資産は 67% 増えますが、利回りを 2 倍にしても (5% → 10%) 資産は 14% しか増えません。
この傾向は資産が少ないほど顕著です。資産 100 万円の人にとって年利 5% の運用益は年 5 万円ですが、月 1 万円の貯蓄増は年 12 万円の効果があります。資産形成の初期段階では、投資先の選定に悩むよりも、まず貯蓄率を 1% でも高めることに注力すべきです。
貯蓄率の目安
手取り収入に対する貯蓄率 (投資を含む) の目安は、ライフステージによって異なります。20 代の単身者なら 20〜30%、30 代の子育て世帯なら 10〜20%、40 代以降で教育費のピークを過ぎたら 20〜30% を目指しましょう。FIRE を目指す場合は 50% 以上の貯蓄率が必要とされますが、まずは 15% を安定的に確保することが第一歩です。
貯蓄率を高めるには、収入を増やすか支出を減らすかの 2 つしかありません。固定費 (家賃、保険、通信費、サブスクリプション) の見直しは効果が持続するため、最初に取り組むべきです。変動費の節約は精神的な負担が大きいため、固定費の最適化を優先しましょう。貯蓄率改善の実践書も参考になります。
資産が増えると利回りの影響が逆転する
資産が 1,000 万円を超えるあたりから、利回りの影響が貯蓄額を上回り始めます。1,000 万円の資産に年利 5% がつけば年間 50 万円の運用益で、月 4 万円以上の積立に相当します。資産が 3,000 万円なら年間 150 万円、月 12.5 万円分です。
資産形成の初期は貯蓄率に集中し、資産が育ってきたら運用効率の改善にも目を向ける。この段階的なアプローチが合理的です。具体的には、資産が年間貯蓄額の 10 倍を超えたら、ポートフォリオの最適化やコスト削減にも注力する価値があります。資産形成の入門書も参考になります。
ネクストアクション - 貯蓄率を把握して改善する
まず、直近 3 ヶ月の手取り収入と支出を集計し、現在の貯蓄率を算出しましょう。貯蓄率 = (手取り収入 - 支出) ÷ 手取り収入 × 100 です。次に、固定費の中で削減できる項目を洗い出します。格安 SIM への乗り換え (月 5,000 円削減)、不要なサブスクの解約 (月 2,000〜5,000 円削減)、保険の見直し (月 5,000〜10,000 円削減) など、固定費だけで月 1〜2 万円の改善は十分可能です。
浮いた金額をそのまま NISA の積立額に上乗せすれば、貯蓄率の改善が自動的に資産形成の加速につながります。当サイトのシミュレーターで、積立額を増やした場合の将来の資産額を確認してみてください。