2 つの投資スタイルの根本的な違い

バリュー投資は、企業の本質的価値 (内在価値) に対して株価が割安な銘柄を買い、市場が適正価格を認識するまで保有する手法です。PER (株価収益率) や PBR (株価純資産倍率) が低い銘柄を選好し、「安全域 (マージン・オブ・セーフティ)」を確保することでダウンサイドリスクを抑えます。ベンジャミン・グレアムが体系化し、ウォーレン・バフェットが実践したことで広く知られています。

グロース投資は、売上高や利益の成長率が高い企業に投資し、将来の利益拡大による株価上昇を狙う手法です。PER が高くても、成長率がそれを正当化するなら割高ではないと考えます。テクノロジー企業やヘルスケア企業に多く見られ、Amazon や Google の初期投資家はグロース投資の恩恵を受けました。ただし、成長期待が裏切られた場合の株価下落は急激です。

歴史的リターンと市場環境による優劣の変化

ファーマ=フレンチの研究によれば、1926 年から 2020 年の米国市場では、バリュー株はグロース株を年平均 3-4% 上回るリターンを記録しました。これは「バリュープレミアム」と呼ばれ、割安株が持つ追加リスクに対する補償と解釈されています。しかし、2010 年代はテクノロジー企業の躍進によりグロース株が圧倒的に優位でした。FAANG 銘柄 (Facebook, Apple, Amazon, Netflix, Google) の急成長がグロース指数を押し上げ、バリュープレミアムは消滅したかに見えました。

2022 年以降の金利上昇局面では、バリュー株が再び優位に転じています。ファクター投資の研究書では、バリュープレミアムの存続に関する学術的な議論が詳しく紹介されています。

10 年周期で見るスタイル別リターンの逆転現象

米国市場のデータを 10 年単位で区切ると、バリューとグロースの優劣が周期的に入れ替わっていることが分かります。2000-2009 年はバリューが年平均 +2.5% に対しグロースは -3.0% と大差がつきました。IT バブル崩壊でグロース株が壊滅的な打撃を受けたためです。2010-2019 年は逆転し、グロースが年平均 +15.2% に対しバリューは +11.8% でした。2020-2024 年はグロースが +14.8%、バリューが +10.2% と、グロース優位が続いています。

この周期性は、どちらか一方に偏ったポートフォリオが長期的にリスクを抱えることを示唆しています。10 年間グロースが優位だったからといって、次の 10 年も同じとは限りません。過去のデータは、両スタイルを組み合わせることでポートフォリオ全体のリスク調整後リターンが改善する可能性を示しています。

両スタイルの融合と実践的なアプローチ

バリューとグロースは二者択一ではなく、両方の要素を組み合わせることも可能です。バフェットは「合理的な価格で素晴らしい企業を買う」という GARP (Growth at a Reasonable Price) のアプローチを実践しています。PEG レシオ (PER / 利益成長率) が 1 以下の銘柄は、成長性に対して株価が割安と判断できます。

個人投資家にとって現実的なのは、コア部分を市場全体のインデックスで保有し、サテライト部分でバリューまたはグロースに傾斜させる方法です。銘柄選定の実践ガイドを参考に、自分のリスク許容度と投資期間に合ったスタイルを見つけてください。まずは PER と PBR の基本的な読み方を学び、保有銘柄がバリューとグロースのどちらに分類されるか確認してみましょう。