キャリートレードの仕組み

キャリートレードは、金利の低い通貨 (日本円やスイスフランなど) で資金を借り入れ、金利の高い通貨 (豪ドル、トルコリラ、メキシコペソなど) で運用して金利差 (キャリー) を稼ぐ取引です。たとえば日本で年利0.5%で借りた円を、年利5%の豪ドル建て資産に投資すれば、為替が変動しなければ年4.5%の利益が得られます。機関投資家やヘッジファンドが大規模に行う取引ですが、FX を通じて個人投資家も参加しています。

円キャリートレードと為替への影響

日本の超低金利政策が長期化した結果、円は世界で最も人気のある調達通貨 (ファンディング通貨) となりました。大量の円キャリートレードは円売り圧力を生み、円安を加速させる要因の一つです。しかし、世界的なリスクオフ局面 (金融危機、地政学リスクの高まり) では、キャリートレードが一斉に巻き戻され、急激な円高が発生します。2008年のリーマンショック時には、数週間で20円以上の円高が進行しました。

個人投資家への注意点

FX のスワップポイント (金利差収入) を目的とした取引は、個人版のキャリートレードです。高金利通貨は政治・経済が不安定な新興国に多く、通貨の急落リスクが常に存在します。トルコリラは2018年から2023年にかけて対円で80%以上下落し、金利差を遥かに上回る為替損失が発生しました。キャリートレードは「階段を上ってエレベーターで降りる」と表現されるように、利益はゆっくり積み上がりますが、損失は一瞬で発生します。 為替取引のリスク管理は専門書で体系的に学べます