先物価格と現物価格の関係

コンタンゴ (contango) とは、先物価格が現物価格 (スポット価格) より高い状態です。期近の先物より期先の先物の方が高く、先物カーブが右肩上がりになります。バックワーデーション (backwardation) はその逆で、先物価格が現物価格より低い状態です。商品市場では、保管コスト (倉庫代、保険料、金利) が存在するため、通常はコンタンゴが「正常な」状態とされます。

なぜ投資家にとって重要なのか

商品 ETF や先物 ETF は、先物の満期が近づくと期近の先物を売って期先の先物を買う「ロールオーバー」を行います。コンタンゴの状態では、安い期近を売って高い期先を買うため、ロールオーバーのたびに損失 (ロールコスト) が発生します。これが「コンタンゴの罠」です。

原油 ETF はこの影響を最も受けやすい商品の一つです。2020 年のコロナショック時、WTI 原油先物は一時マイナス価格をつけましたが、その後原油価格が回復しても、コンタンゴによるロールコストが積み重なり、原油 ETF の価格は原油現物ほど回復しませんでした。原油価格が 2 倍になっても、原油 ETF は 1.5 倍にしかならないといった乖離が生じます。

バックワーデーションの投資機会

バックワーデーションの状態では、高い期近を売って安い期先を買うため、ロールオーバーで利益 (ロール収益) が発生します。供給不安や需要急増で現物が逼迫している市場ではバックワーデーションが発生しやすく、先物投資家にとって有利な環境です。金 (ゴールド) は保管コストが低く、バックワーデーションが発生しにくいため、金 ETF はコンタンゴの影響が比較的小さいです。 先物取引の仕組みは専門書で学べます

個人投資家への実践的な示唆

商品に投資する際は、現物価格のチャートだけでなく先物カーブの形状を確認してください。コンタンゴが急な市場では、長期保有するほどロールコストが蓄積します。商品への長期投資を考えるなら、先物ではなく現物を裏付けとする ETF (金 ETF など) や、コンタンゴの影響を軽減する設計の ETF を選ぶことが重要です。