「利息をもっと細かく付けたらどうなる?」
年利 100% で 1 万円を預けると、1 年後に 2 万円になります。では、半年ごとに 50% の利息を付けたら? 1 万円 × 1.5 × 1.5 = 22,500 円。年 1 回より 2,500 円多い。じゃあ、毎月 (12 回) に分けたら? 1 万円 × (1 + 1/12)^12 ≒ 26,130 円。さらに毎日 (365 回) なら? 1 万円 × (1 + 1/365)^365 ≒ 27,146 円。
利息を付ける回数を増やすほど、最終金額は増えていきます。では、利息を「無限に細かく」付けたら、金額は無限に増えるのでしょうか? 1683 年、スイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイがこの疑問に挑みました。
答えは「無限には増えない」- そこに e が現れた
ベルヌーイが計算した結果、驚くべきことが分かりました。利息を付ける回数を無限に増やしても、金額はある値に収束するのです。1 万円 × (1 + 1/n)^n の n を無限大にすると、答えは約 27,183 円。つまり 1 万円が約 2.7183 倍になる。この「2.71828...」という数が、後に「ネイピア数 e」と呼ばれる数学の重要な定数です。
円周率 π (3.14159...) が円の性質から生まれたように、ネイピア数 e (2.71828...) は複利の性質から生まれました。数学の教科書に出てくる e は、実は「お金の利息を極限まで細かくしたらどうなるか」という、とても実用的な疑問から発見されたのです。数学の面白さを伝える本を読むと、e が自然界のあらゆる場所に登場する理由が分かります。
e は複利だけでなく、世界中に隠れている
複利から生まれた e は、金融の世界を飛び出して、自然界のあらゆる場所に登場します。放射性物質の崩壊速度、細菌の増殖カーブ、吊り橋のケーブルの形、さらにはスマホの電波の減衰まで、すべて e を含む式で表されます。複利の計算から生まれた数が、宇宙の法則を記述する道具になっている。お金の話が数学の大発見につながったという事実は、複利が単なる金融テクニックではなく、自然の根本原理であることを示しています。