リセッションの定義と判定基準
リセッション (recession) とは、経済活動が広範囲にわたって持続的に縮小する局面を指します。一般的には「実質 GDP が 2 四半期連続でマイナス成長」がリセッションの簡易的な定義として広く知られていますが、米国では全米経済研究所 (NBER) が GDP だけでなく雇用、所得、生産、売上高など複数の指標を総合的に判断してリセッションの開始・終了を認定します。
日本では内閣府が景気動向指数に基づいて景気の山と谷を認定します。景気の山から谷までの期間がリセッション (景気後退期) に該当します。リセッションの認定は通常、実際の景気後退から 6-12 カ月遅れて発表されるため、リアルタイムでリセッションの開始を正確に判断することは困難です。
過去のリセッションの具体的なデータ
米国では 1945 年以降、12 回のリセッションが発生しています。平均的な持続期間は約 10 カ月で、実質 GDP の平均下落率は約 2.5% です。最も深刻だったのは 2007-2009 年の大不況 (Great Recession) で、18 カ月間続き、実質 GDP は約 4.3% 縮小、失業率は 10% に達しました。最も短かったのは 2020 年のコロナリセッションで、わずか 2 カ月で終了しました。
リセッション時の株式市場は平均して約 30% 下落しますが、株価はリセッションの終了を 3-6 カ月先取りして底を打つ傾向があります。2009 年 3 月に S&P 500 が底値をつけたのは、NBER がリセッション終了を認定した 2009 年 6 月の 3 カ月前でした。リセッションの底で投資できれば大きなリターンが得られますが、底値の予測は極めて困難です。
よくある誤解と投資家の対応策
リセッションに関する最大の誤解は「リセッションが来たら株を全部売るべき」という反応です。過去のデータでは、リセッション中に株式を売却して現金化した投資家は、その後の回復局面で大きなリターンを逃しています。S&P 500 はリセッション終了後の 12 カ月間で平均約 40% 上昇しており、市場に留まり続けた投資家が最も恩恵を受けています。 景気後退期の投資戦略を学べる書籍も参考になります
実務的な対応策として、リセッションに備えたポートフォリオの構築が重要です。景気後退に強いディフェンシブセクター (生活必需品、ヘルスケア、公益事業) の比率を高め、景気敏感セクター (素材、一般消費財、金融) の比率を下げるセクターローテーションが有効です。また、債券や金などの安全資産を一定割合保有することで、ポートフォリオ全体の下落幅を抑制できます。