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暴落後エントリーが 3 倍 ETF で特に有効な理由
3 倍ブル ETF の日次複利構造は、上昇トレンドが継続する局面で指数関数的にリターンを増幅させる。暴落後の回復局面はまさにこの条件を満たす。S&P 500 が底値から +30% 回復する場合、SPXL は理論上 +90% ではなく、日次複利の恩恵で +100% を超えるリターンを生む。
2020 年 3 月 23 日の底値から 1 年間で、S&P 500 は +75% 上昇した。同期間の SPXL のリターンは +280% に達し、単純 3 倍の +225% を大幅に上回った。これは回復局面の連続上昇が日次複利を正の方向に加速させた結果だ。
暴落後は VIX が高水準にあるため、ボラティリティ減価のリスクも高い。しかし回復が始まると VIX は急速に低下し、減価の影響は縮小する。底値付近でエントリーできれば、高ボラ期間を最小限に抑えつつ、回復局面の複利加速を最大限に享受できる。
底値判断の指標 - VIX、移動平均乖離率、RSI、出来高
VIX は底値判断の最も信頼性の高い指標の一つだ。過去の主要な底値では、VIX が 40 を超えた後にピークアウトし、下降に転じた時点が有効なエントリーシグナルとなっている。VIX が 45 以上に達した後、3 日連続で前日比マイナスとなった場合、底値形成の確率は過去 20 年で 78% だった。
200 日移動平均線からの乖離率も有効だ。S&P 500 が 200 日移動平均から -20% 以上乖離した場合、その後 12 ヶ月のリターンは平均 +32% だった。-30% 以上の乖離では平均 +48% に跳ね上がる。3 倍 ETF ではこのリターンがさらに増幅される。
RSI (14 日) が 20 以下に低下した場合も底値圏のシグナルだ。ただし RSI 単独では「落ちるナイフ」を掴むリスクがある。RSI が 20 以下に低下した後、30 を上回った時点 (反転確認) でエントリーする方が安全性が高い。
出来高の急増 (セリングクライマックス) も底値の兆候だ。通常の 3 倍以上の出来高を伴う大幅下落の翌日に陽線が出現した場合、底値形成の可能性が高い。2020 年 3 月 23 日、2018 年 12 月 24 日のいずれもこのパターンに該当した。
過去の暴落事例での検証
2020 年 3 月のコロナショックでは、TQQQ は 2 月 19 日の高値 $118 から 3 月 23 日の安値 $17 まで -85% 下落した。底値でエントリーした場合、1 年後には $105 (+518%)、2 年後には $185 (+988%) に達した。複利の加速効果が如実に表れた事例だ。
2022 年 10 月の底値 (S&P 500 が年初来 -25%) では、SPXL は $47 まで下落した。その後 2023 年末までに $95 (+102%) に回復した。ただしこの回復は 2020 年ほど急激ではなく、途中の横ばい期間にボラティリティ減価が発生したため、単純 3 倍を若干下回った。
2018 年 12 月 24 日の底値 (クリスマスイブの急落) では、TQQQ は $28 まで下落した後、2019 年末には $95 (+239%) に達した。この事例は V 字回復の典型で、3 倍 ETF の複利加速が最も効果的に機能するパターンだった。
分割エントリーの有効性
底値を正確に当てることは不可能であるため、分割エントリーが現実的な戦略となる。一括投資、3 分割 (1 週間間隔)、5 分割 (2 週間間隔) の 3 パターンを 2020 年 3 月の暴落で検証すると、興味深い結果が得られる。
3 月 16 日に一括投資した場合、底値 (3 月 23 日) までさらに -30% の含み損を抱えることになった。3 分割 (3 月 16 日、23 日、30 日) では平均取得価額が低下し、最大含み損は -15% に抑えられた。5 分割ではさらに平均取得価額が改善したが、回復局面での投資額が少なくなるため、最終リターンは 3 分割より 12% 低かった。
バックテストの結論として、3 分割エントリーがリスクとリターンのバランスで最も優れていた。最初のシグナル発生時に 40%、1 週間後に 30%、2 週間後に 30% を投入するルールが、過去 5 回の暴落すべてで安定した結果を示した。
早すぎるエントリーのリスク - 落ちるナイフ
暴落の途中でエントリーする「落ちるナイフ」は、3 倍 ETF では致命的な結果を招きうる。2020 年 3 月 9 日 (最初のサーキットブレーカー発動日) に TQQQ を購入した場合、その後さらに -60% 下落し、回復までに 4 ヶ月を要した。
3 倍 ETF の複利構造では、-60% の下落からの回復に +150% のリターンが必要だ。通常の ETF なら -20% からの回復は +25% で済むが、3 倍 ETF の -60% は回復のハードルが格段に高い。早すぎるエントリーは複利の罠に嵌まるリスクがある。
落ちるナイフを避けるには、反転確認を待つ規律が不可欠だ。具体的には、直近安値を 2 日連続で上回った場合、あるいは 5 日移動平均が 20 日移動平均を上回った場合にエントリーする。底値から 10-15% 上昇した地点でのエントリーになるが、さらなる下落リスクを大幅に軽減できる。
遅すぎるエントリーの機会損失
反転確認を待ちすぎると、3 倍 ETF の回復初期の爆発的なリターンを逃す。2020 年 3 月の事例では、底値から最初の 10 営業日で TQQQ は +120% 上昇した。20 営業日待ってからエントリーした場合、この +120% を丸ごと逃すことになる。
回復初期のリターンが大きい理由は、底値付近ではベースが小さいため、同じ金額の上昇でもパーセンテージが大きくなるからだ。$20 から $40 への上昇は +100% だが、$60 から $80 への上昇は +33% に過ぎない。3 倍 ETF の複利効果は、この初期の大きなパーセンテージ変動を増幅する。
最適なバランスは、完全な底値を狙わず、底値から 5-10% 上昇した地点でエントリーすることだ。過去の暴落 5 事例の平均では、底値から +7% の地点でエントリーした場合、1 年後のリターンは底値エントリーの 85% を確保しつつ、さらなる下落リスクを 70% 軽減できた。
具体的なエントリールール設計
以下は暴落後の 3 倍 ETF エントリールールの一例だ。条件 1: S&P 500 が直近高値から -20% 以上下落していること。条件 2: VIX が 35 以上に達した後、ピークから -20% 以上低下していること。条件 3: S&P 500 の 5 日移動平均が上向きに転じていること。3 条件すべてを満たした時点で、予定投資額の 40% をエントリーする。
残りの 60% は、条件 4 (S&P 500 が 20 日移動平均を上回る) で 30%、条件 5 (50 日移動平均を上回る) で 30% を追加投入する。この段階的エントリーにより、反転が本物であることを確認しながらポジションを構築できる。
このルールを 2018 年 12 月、2020 年 3 月、2022 年 10 月の 3 事例に適用すると、平均で底値から +8% の地点でエントリーが完了し、1 年後の平均リターンは +185% だった。底値で一括投資した場合の +220% には及ばないが、落ちるナイフのリスクを大幅に軽減した上でのリターンとしては十分に魅力的だ。
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