グリーンボンドとは - 資金使途が環境プロジェクトに限定された債券
グリーンボンドは、調達した資金の使途を再生可能エネルギー、省エネルギー、クリーン交通、持続可能な水資源管理などの環境プロジェクトに限定した債券です。2007 年に欧州投資銀行 (EIB) が発行した気候変動対応の債券が最初の事例とされ、その後、発行は世界的に広がりました。日本では環境省が 2017 年にグリーンボンドガイドラインを策定し (最新は 2024 年版)、同省の集計によると国内で発行された円建てグリーンボンドは 2020 年に年間 1 兆円を超え、2023 年は約 2.3 兆円でした。グリーンボンドの利回りは同等の信用格付けを持つ通常の債券と概ね同水準ですが、需要の高まりから若干低い利回り (グリーニアム) で発行されるケースもあります。
グリーンボンドの発行体は、政府系機関、地方自治体、金融機関、事業会社と多岐にわたります。日本では地方自治体も発行体に加わっており、東京都は複数年にわたって発行を続けています。発行体の信用力に応じた条件で投資できる点と、環境への貢献を両立できる点が、ESG を意識する投資家にとっての魅力です。
グリーンウォッシングのリスク - 見せかけの環境配慮を見抜く
グリーンボンド市場の拡大に伴い、実質的な環境改善効果が乏しいにもかかわらず「グリーン」を標榜する債券、いわゆるグリーンウォッシングが問題視されています。国際資本市場協会 (ICMA) が策定したグリーンボンド原則 (GBP) は、資金使途、プロジェクトの評価・選定プロセス、調達資金の管理、レポーティングの 4 つの柱で発行体に透明性を求めていますが、法的拘束力はありません。投資家としては、第三者機関によるセカンドパーティ・オピニオン (SPO) の取得状況、Climate Bonds Initiative (CBI) の認証の有無、発行後のインパクトレポートの開示状況を確認することが重要です。
EU では 2023 年 11 月に欧州グリーンボンド基準 (EU GBS) の規則が採択され、グリーンボンドの定義と開示要件が法的に明確化されました。この基準では、原則として調達資金の全額を EU タクソノミーの要件に沿って配分することが求められ、技術的スクリーニング基準が未整備の経済活動などに限って最大 15% までの例外が認められます。今後、各国で同様の規制が整備されることで、グリーンウォッシングのリスクは低減していくことが期待されます。
個人投資家のアクセス方法 - 投資信託と ETF の活用
グリーンボンドは機関投資家向けに大口の単位で発行されることが多く、個人が直接買える銘柄は限られます。そのため個人投資家にとっては、グリーンボンドを主な投資対象とする投資信託や ETF を通じたアクセスが現実的です。これらのファンドは複数のグリーンボンドに分散投資するため、個別銘柄のデフォルトリスクを 1 銘柄に集中させずに済みます。為替リスクを考慮すると、円建てのファンドを中心に据え、外貨建てファンドは為替ヘッジの有無を確認して選ぶ方法があります。取扱商品と条件は時期によって変わるため、具体的な商品は証券会社の商品一覧と運用会社の開示資料で最新の内容を確かめてください。
グリーンボンドは、環境への貢献を意識しながら債券に投資したい人にとって選択肢の一つです。ただし利回りや値動きは発行体の信用力と金利水準に左右されるため、通常の債券と同じ目線でリスクを確認してから組み入れます。
候補となる商品の中身と費用を見比べる
グリーンボンドへの投資を検討するなら、まずは証券口座でグリーンボンド関連の投資信託や ETF を検索し、信託報酬、運用実績、組入銘柄を比較しましょう。債券ポートフォリオの一部 (10% から 20% 程度) をグリーンボンドファンドに振り替える方法もあります。同じ格付け帯の債券が中心であれば債券部分の性格は大きく変えずに済みますが、実際の値動きは組入銘柄によって変わります。
より積極的に関わりたい場合は、東京都や政府系機関が発行する個人向けグリーンボンドの募集情報をチェックしてみてください。発行体の信用力が比較的高いものが多く、債券投資の入門としても取り組みやすい対象です。ただし債券は元本が保証されるものではなく、発行体の信用状況や売却時の金利水準によって受け取る金額は変わります。グリーンボンドの発行体が公開するインパクトレポートを読むことで、自分の投資がどのような環境プロジェクトに貢献しているかを具体的に把握できます。