BULZ の基本情報と商品設計

BULZ (MicroSectors Solactive FANG & Innovation 3X Leveraged ETN) は、Solactive FANG & Innovation Index の日次リターンの 3 倍に連動する ETN である。FNGU と同じく BMO が発行し、経費率も 0.95% と同一だ。2021 年に設定された比較的新しい商品で、FNGU の「拡張版」として位置づけられる。

FNGU が 10 銘柄に集中するのに対し、BULZ は 15 銘柄で構成される。追加された 5 銘柄はイノベーション領域の企業で、より広い分散を提供する。ただし 15 銘柄でも十分に集中的であり、S&P500 の 500 銘柄や NASDAQ100 の 100 銘柄と比較すれば、依然としてハイリスクな集中投資商品である。

BULZ も ETN 構造であるため、FNGU と同様の発行体信用リスクを負う。BMO の信用力に依存する点は変わらない。

FNGU との銘柄構成の違い

FNGU の 10 銘柄 (Meta, Apple, Amazon, Netflix, Alphabet, Microsoft, Tesla, NVIDIA, Snowflake, Broadcom) に加え、BULZ は Twitter (現 X)、Spotify、Block (旧 Square)、Zoom、Palantir などのイノベーション企業を含む。構成銘柄は定期的に見直されるため、最新の構成は公式サイトで確認すべきだ。

15 銘柄の均等加重では各銘柄のウェイトが約 6.67% となり、FNGU の 10% と比較して 1 銘柄あたりの影響力が小さい。これは分散効果を高める一方で、特定銘柄の急騰による恩恵も薄まることを意味する。

追加された銘柄群は FNGU の構成銘柄と比較して時価総額が小さく、ボラティリティが高い傾向にある。Zoom や Palantir のような銘柄は 1 日で 10% 以上動くことも珍しくなく、指数全体のボラティリティを押し上げる要因となる。

パフォーマンス比較と集中度の影響

BULZ は 2021 年設定のため、FNGU との長期比較データは限られる。しかし 2022 年のベアマーケットでは、BULZ が FNGU をさらに上回る下落率を記録した。追加銘柄の多くが高バリュエーションのグロース株であり、金利上昇局面で特に大きな打撃を受けたためだ。

一方、2023 年の回復局面では FNGU が BULZ をアウトパフォームした。AI ブームの恩恵が NVIDIA、Meta、Microsoft に集中したため、これらの銘柄のウェイトが高い FNGU (各 10%) が有利に働いた。BULZ では同じ銘柄のウェイトが 6.67% に薄まるため、上昇の恩恵が希釈された。

複利の観点から見ると、ボラティリティが高いほど減価 (volatility decay) が大きくなる。BULZ の追加銘柄が指数全体のボラティリティを押し上げる場合、長期的な減価率は FNGU より悪化する可能性がある。分散がリスク低減に寄与するのは非レバレッジの場合であり、3 倍レバレッジでは分散の効果が減価の増大で相殺されることがある。

分散効果とボラティリティ減価のトレードオフ

非レバレッジの世界では、銘柄数を増やすことは無条件にリスク低減に寄与する。しかしレバレッジ商品では事情が異なる。ボラティリティ減価は指数のボラティリティの 2 乗に比例して増大するため、分散によってボラティリティが下がらなければ、銘柄数を増やしても減価は改善しない。

BULZ の 15 銘柄が FNGU の 10 銘柄より低いボラティリティを実現するかどうかは、追加銘柄と既存銘柄の相関に依存する。相関が低ければ分散効果でボラティリティが下がり、減価も軽減される。しかし、すべてテクノロジー・イノベーション銘柄であるため、相関は高い傾向にある。

実際のデータでは、BULZ のベース指数のボラティリティは FNGU のベース指数とほぼ同水準か、やや高い。つまり、銘柄数の増加が分散効果として機能していない可能性が高い。これは「同じセクター内での分散は真の分散ではない」という投資の基本原則を裏付けている。

どちらを選ぶべきかの判断基準

FNGU を選ぶべき投資家は、FANG+ の 10 銘柄に強い確信を持ち、集中投資のリスクを許容できる人だ。特に AI ブームのように特定の大型テクノロジー株が市場を牽引する局面では、FNGU の集中度が有利に働く。

BULZ を選ぶべき投資家は、テクノロジー・イノベーション領域全体に広くベットしたい人だ。次の成長ドライバーが FANG+ の 10 銘柄以外から出ると考えるなら、BULZ の方が機会を捉えやすい。ただし、前述のとおり分散効果は限定的である。

実務的な判断基準としては、流動性の差も重要だ。FNGU は BULZ より圧倒的に出来高が多く、ビッド・アスクスプレッドも狭い。短期トレードでは取引コストの差が累積するため、流動性の高い FNGU が有利である。

両方を保有する意味はあるか

FNGU と BULZ を同時に保有することに合理性はほとんどない。両者の構成銘柄は大部分が重複しており、FNGU の 10 銘柄はすべて BULZ にも含まれている。両方持つことは、実質的に FNGU の構成銘柄をオーバーウェイトしつつ、追加の 5 銘柄に少額を配分するのと同じだ。

もし FNGU の集中度を薄めたいなら、BULZ 単体で保有する方がシンプルだ。逆に集中度を高めたいなら、FNGU 単体で十分である。両方を組み合わせる中途半端なポジションは、管理の複雑さに見合うメリットがない。

むしろ検討すべきは、FNGU (または BULZ) と TQQQ の組み合わせだ。TQQQ は 100 銘柄に分散されているため、FNGU との相関は高いものの、セクター内の分散度が異なる。テクノロジー投資の関連書籍で各銘柄の分析を深めることも有益だろう。

BULZ 投資のまとめと注意点

BULZ は FNGU の「改良版」として登場したが、必ずしも上位互換ではない。銘柄数の増加が分散効果として機能するかは相関構造に依存し、テクノロジーセクター内での分散は限定的である。

投資判断としては、まず TQQQ で十分かを検討し、それでも集中度を高めたい場合に FNGU を、さらにイノベーション領域を広くカバーしたい場合に BULZ を検討するという段階的なアプローチが合理的だ。

いずれの商品も ETN 構造であり、発行体リスクを負う点は共通している。レバレッジ × 集中投資 × 信用リスクという 3 重のリスクを理解した上で、ポジションサイズを厳格に管理することが不可欠だ。