限界効用逓減の法則とは

限界効用逓減の法則は、財やサービスの消費量が増えるにつれて、追加1単位から得られる満足度 (効用) が徐々に小さくなるという経済学の基本法則です。喉が渇いているときの1杯目の水は極めて満足度が高いですが、5杯目の水はほとんど満足をもたらしません。この法則はお金にも当てはまり、年収200万円から300万円への増加は生活を劇的に改善しますが、年収1,000万円から1,100万円への増加は体感的にほとんど変わりません。

お金と幸福の関係

ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンらの研究では、日常的な感情的幸福度は年収約7.5万ドル (日本円で約800-900万円) で頭打ちになるとされました。その後の研究では上限はもう少し高い可能性も示されていますが、収入と幸福の関係が対数的 (逓減的) であることは一貫しています。つまり、年収を2倍にしても幸福度は2倍にはならないのです。

投資判断への示唆

この法則は、リスクを取って資産を最大化することが必ずしも最適ではないことを示唆しています。すでに十分な資産がある場合、追加のリターンから得られる効用は小さく、損失から受ける苦痛は大きいため、リスクを下げるほうが合理的です。FIRE (経済的自立) を目指す人にとっても、「いくらあれば十分か」を考える際に限界効用の概念は重要です。必要以上の資産を追い求めて人生の時間を犠牲にすることは、効用の観点からは非合理的かもしれません。