FIRE 達成に必要な資産額の求め方

FIRE (Financial Independence, Retire Early) の達成に必要な資産額は、年間生活費 × 25 で概算できます。これは「4% ルール」に基づく計算で、初年度に資産の 4% を取り崩し、その後は物価上昇に合わせて取崩し額を調整していく前提で、30 年程度であれば資産が持ちこたえたという米国の過去データの分析に由来します。年間生活費が 300 万円なら必要資産額は 7,500 万円、400 万円なら 1 億円です。

日本では公的年金があるため、年金受給開始後は取崩し額を減らせます。65 歳から月 15 万円の年金を受け取れるなら、年間 180 万円分の生活費を年金でカバーでき、資産からの取崩しは年間 120 万円 (月 10 万円) で済みます。この場合、65 歳以降に必要な資産は 120 万円 × 25 = 3,000 万円です。

4% ルールの根拠と日本での適用

4% ルールは、1998 年に米国のトリニティ大学の研究者が発表した「トリニティスタディ」に由来します。この研究は 1926〜1995 年の米国市場データを使い、株式と債券を組み合わせたポートフォリオの持続可能な取崩し率を検証したもので、株式 50%・債券 50% の配分で初年度に 4% + 物価調整の取崩しを 30 年続けた場合、原典の分析では 9 割を超える高い成功率が示されました。ここでいう「成功率」は将来の確率ではなく、過去のデータを 30 年間ずつ切り出したときに資産が枯渇しなかった期間の割合を指すもので、対象とする年代や資産配分の取り方によって結果は変わります。

ただし、この研究は米国市場のデータに基づく分析であり、日本にそのまま適用できるかは議論があります。日本の低金利環境やインフレ率の違いを考慮して、より保守的に 3〜3.5% を目安とする考え方もありますが、これも確立した基準ではなく、想定する運用環境によって変わります。3.5% を採用すると、年間生活費 300 万円の場合の必要資産額は約 8,571 万円に増えます。保守的に見積もっておけば、想定が外れたときの余裕が生まれます。

達成までの積立シミュレーション

目標資産額 5,000 万円を年利 5% で達成するために必要な毎月の積立額を、期間別に見てみましょう。20 年間なら月約 12.2 万円、25 年間なら月約 8.4 万円、30 年間なら月約 6.0 万円です。期間が長いほど毎月の負担は軽くなり、複利効果が大きく働きます。

目標額を 7,500 万円に引き上げると、30 年間で月約 9.0 万円、25 年間で月約 12.6 万円が必要です。現実的には、収入の増加に合わせて積立額を段階的に引き上げるのが効果的です。20 代は月 3 万円、30 代は月 5 万円、40 代は月 10 万円と増やしていけば、無理なく目標に近づけます。

FIRE の現実的な落とし穴

4% ルールは過去の米国市場データに基づくもので、将来も同じリターンが得られる保証はありません。また、医療費の増加、インフレ率の変動、予期せぬ大型出費など、計画どおりにいかないリスクも考慮すべきです。特に日本では、国民健康保険料や介護保険料が資産所得に応じて増加するため、FIRE 後の社会保険料負担も見落とせません。

必要資産額に 10〜20% の余裕を持たせるか、完全リタイアではなく軽い労働収入を組み合わせるサイド FIRE を検討するのが現実的です。年間 100 万円の労働収入があれば、必要資産額を 2,500 万円減らせます。

年間生活費から必要資産額を逆算する

まず、現在の月間支出を正確に把握しましょう。家計簿アプリで 3 ヶ月分の支出を記録すれば、年間生活費の目安がわかります。次に、年間生活費 × 25 (保守的なら × 28〜30) で必要資産額を算出します。そこから現在の資産を差し引いた金額が、これから積み立てるべき目標額です。

当サイトのシミュレーターに目標額と想定利率を入力すれば、達成に必要な毎月の積立額と期間がわかります。数字を可視化することで、FIRE は夢物語ではなく具体的な計画になります。