「分割手数料無料」のカラクリ

スマホを買うとき「36 回分割払い、手数料無料!」という広告をよく見ます。15 万円のスマホが月々 4,167 円。「手数料無料なら分割のほうがお得じゃない?」と思いますよね。確かに、手数料無料の分割払いは文字どおり利息ゼロです。メーカーや通信キャリアが手数料を負担しているので、消費者の負担は増えません。

でも、ここに「見えないコスト」があります。もし 15 万円を一括で払わず、手元に残して年利 5% で運用したら、3 年後に約 17.4 万円になります。差額は約 2.4 万円。分割払いで「手数料無料」を選んだ場合、この 2.4 万円の運用益を得るチャンスを逃しています。これを経済学では「機会費用」と呼びます。

手数料「あり」の分割払いは年利 12〜15%

問題は、手数料無料ではない分割払いです。クレジットカードの分割払い (12 回) の手数料率は年 12〜15% が一般的です。15 万円を 12 回分割 (年利 15%) で払うと、総支払額は約 16.2 万円。手数料は約 1.2 万円です。「1.2 万円くらいなら」と思うかもしれませんが、年利 15% は投資信託の期待リターン (年 5%) の 3 倍です。

つまり、分割払いの手数料を払うことは、年利 15% の「逆投資」をしているのと同じです。投資で年 5% を稼ぐのは難しいのに、分割払いで年 15% を失うのは簡単。この非対称性に気づくと、分割払いの見え方が変わります。コスパの良いスマホを一括で買うほうが、長い目で見ると賢い選択かもしれません。

リボ払いは最も危険な「見えない利息」

分割払いよりさらに危険なのがリボ払いです。リボ払いの年利は 15〜18%。しかも、毎月の支払額が一定なので「借金が増えている実感」が湧きにくい設計になっています。15 万円をリボ払い (年利 15%、月 5,000 円返済) にすると、完済まで約 3 年 5 か月、総支払額は約 20.4 万円。手数料だけで 5.4 万円。元の値段の 36% が利息として消えます。

身近な買い物に潜む「見えない利息」を意識するだけで、お金の使い方は変わります。分割払いを選ぶ前に「この手数料は年利何%か」を計算する習慣をつけてください。年利 15% を払う側ではなく、年利 5% をもらう側に回る。それが複利を味方につける生活です。