2つの平均の違い

算術平均は各年のリターンを単純に足して年数で割ったものです。幾何平均は複利効果を考慮した「実際に手元に残るリターン」です。+50%と-50%を繰り返した場合、算術平均は0%ですが、100万円は1年目に150万円、2年目に75万円になるため、幾何平均は約-13.4%です。算術平均は常に幾何平均以上になり、ボラティリティが高いほど両者の乖離が大きくなります。

なぜ算術平均は誤解を招くのか

ファンドの広告で「過去10年の平均リターン12%」と表示されている場合、それが算術平均なら実際の投資家のリターンはそれより低い可能性があります。たとえば、+40%、-20%、+30%、-10%、+20%の5年間は算術平均12%ですが、幾何平均は約10.4%です。この1.6%の差が30年間複利で積み重なると、最終資産に30%以上の差が生まれます。

実務での使い分け

投資成績の評価には必ず幾何平均 (CAGR) を使うべきです。算術平均が有用なのは、将来の期待リターンを推定する場合です。来年のリターンが+20%か-10%のどちらかなら、期待値は算術平均の+5%です。しかし、その期待リターンで長期の資産成長を予測するなら、ボラティリティを考慮した幾何平均に変換する必要があります。幾何平均 ≈ 算術平均 - (分散 / 2) という近似式が実務で使われます。