逆イールドとは

通常、債券利回りは満期が長いほど高くなります (順イールド)。投資家が長期間資金を拘束するリスクに対して、より高いリターンを要求するためです。逆イールドはこの関係が逆転し、短期債の利回りが長期債を上回る状態を指します。特に米国2年債と10年債の利回り差 (2s10s スプレッド) がマイナスになることが、景気後退の代表的な先行指標として広く注目されています。

なぜ景気後退を予測できるのか

逆イールドが発生するメカニズムは、市場参加者の将来予測を反映しています。中央銀行がインフレ抑制のために短期金利を引き上げる一方、投資家は将来の景気減速を見込んで長期債を買い増します。長期債の需要増加は長期金利を押し下げ、結果として短期金利が長期金利を上回ります。過去50年間、米国で逆イールドが発生した後、6-24ヶ月以内にほぼ例外なく景気後退が訪れています。

投資家への実務的な示唆

逆イールドは「いつ」景気後退が始まるかを正確に予測するものではありません。2022年に発生した逆イールドの後、景気後退の到来には相当な時間差がありました。逆イールドを確認したら、ポートフォリオの防御力を高める (現金比率の引き上げ、ディフェンシブ銘柄への傾斜) ことは合理的ですが、即座に全資産を売却するのは過剰反応です。逆イールドの深さ (スプレッドのマイナス幅) と持続期間が、景気後退の深刻度と相関する傾向があります。