貨幣錯覚とは
貨幣錯覚 (Money Illusion) は、経済学者アーヴィング・フィッシャーが1928年に提唱した概念で、人々がお金の名目的な額面に惑わされ、実質的な購買力の変化を正しく認識できない現象を指します。たとえば、インフレ率3%の環境で給与が2%上がると、名目上は「昇給」ですが実質的には購買力が1%低下しています。多くの人はこの実質的な目減りに気づかず、昇給を喜びます。
投資判断への影響
貨幣錯覚は投資の世界でも深刻な影響を及ぼします。「定期預金で年利0.3%もらえている」と安心する人は、インフレ率2%で実質的に年1.7%ずつ資産が目減りしている事実を見落としています。不動産投資でも、「30年前に3,000万円で買った家が4,000万円になった」と喜ぶ人がいますが、その間の物価上昇を考慮すると実質的にはほとんど値上がりしていない場合があります。
貨幣錯覚を克服する方法
貨幣錯覚を避けるには、すべての金額を「実質値」で考える習慣をつけることです。投資リターンは必ずインフレ率を差し引いた実質リターンで評価します。将来の目標金額も、現在の購買力に換算して設定します。「老後に5,000万円必要」という目標は、30年後のインフレを考慮すると現在の価値で3,000万円程度かもしれません。逆に、現在の3,000万円の購買力を30年後に維持するには、インフレ率2%なら約5,400万円が必要です。 行動経済学の知見は投資判断の改善に直結します