名目金利と実質金利の違い

名目金利は銀行や証券会社が提示する表面上の金利です。定期預金の「年利0.3%」や住宅ローンの「年利1.5%」がこれにあたります。実質金利は名目金利からインフレ率を差し引いたもので、お金の実際の購買力がどれだけ増減するかを示します。フィッシャー方程式では「実質金利 ≈ 名目金利 - 期待インフレ率」と近似されます。

実質金利がマイナスになるとき

名目金利が0.3%でインフレ率が2%なら、実質金利は約-1.7%です。預金していても購買力は年々目減りしていきます。日本では 2022 年から 2024 年にかけて消費者物価指数が前年比 2-3% 台で上昇する一方、普通預金金利はマイナス金利政策下の 0.001-0.1% 程度にとどまり、実質金利は大幅なマイナスが続きました。2024 年のマイナス金利解除を経て普通預金金利は上昇に転じましたが、直近のインフレ率 (2026 年 6 月の全国消費者物価は前年同月比 1.7% 上昇) をなお下回り、実質金利はマイナスのままです。この状況では「預金は安全」という認識は誤りで、インフレによる購買力の毀損という見えないリスクを負っています。

資産運用への影響

実質金利がマイナスの環境では、現金や低金利の預金に資産を置くこと自体がリスクです。株式や不動産などのインフレに強い資産への配分を増やすことが、購買力を維持する合理的な選択になります。一方、実質金利がプラスに転じた局面では、債券の魅力が相対的に高まります。投資判断では常に名目金利ではなく実質金利を基準に考えることが、長期的な資産形成の鍵です。