「たった 2℃」が大問題になる理由
「地球の平均気温が 2℃ 上がる」と聞いても、ピンとこないかもしれません。今日の気温が 25℃ から 27℃ になるだけでしょ? でも、地球の「平均」気温が 2℃ 変わるのは、個人の体温が 2℃ 上がるのと同じくらい深刻です。人間の平常体温は 36.5℃。38.5℃ になったら明らかに高熱で、学校を休むレベルです。
地球も同じです。平均気温が 2℃ 上がると、北極の氷が大量に溶け、海面が数十 cm 上昇し、異常気象の頻度が増え、生態系が崩壊し始めます。「小さな変化」が「巨大な結果」を生む。これは複利と全く同じ原理です。
複利と気候変動の共通構造
複利では、年利 1% の差が 30 年後に大きな差を生みます。年利 5% で 30 年運用すると 4.3 倍、年利 7% なら 7.6 倍。たった 2% の差が、結果を 1.8 倍も変えます。気候変動も同じです。産業革命前からの気温上昇が 1.5℃ に収まるか 2℃ になるかで、海面上昇量は約 2 倍、サンゴ礁の消失率は 70% から 99% に跳ね上がります。
どちらも「小さな差が、長い時間を経て、非線形に拡大する」という指数関数的な現象です。人間の直感は線形 (直線的) な変化しか想像できないため、「2℃ くらい大したことない」「2% の差なんて誤差」と感じてしまいます。でも指数関数の世界では、小さな差が時間とともに巨大な差に化けるのです。
「今すぐ始める」ことの価値
気候変動対策で科学者が口を揃えて言うのは「今すぐ行動すれば間に合う。でも先延ばしにするほど、必要な対策のコストが指数関数的に増える」ということです。投資も全く同じです。20 歳から月 3 万円を年利 5% で積み立てると 60 歳で約 4,600 万円。30 歳から始めると約 2,500 万円。10 年の遅れが 2,100 万円の差を生みます。 気候変動の本を読むと、地球規模の指数関数的変化が具体的に分かります。
指数関数的思考を身につけよう
気候変動も投資も、人口増加もウイルスの感染拡大も、すべて指数関数で動いています。「小さな変化が長期で巨大な結果を生む」という感覚を持てるかどうかが、これからの時代を生きる上で重要なスキルです。複利の計算ができる人は、気候変動の深刻さも直感的に理解できる。逆に、指数関数を理解していない人は、どちらの問題も「大したことない」と過小評価してしまいます。数学は世界を正しく見るためのレンズです。