バリューセットの値段はどう変わったか

マクドナルドのビッグマックセット (バリューセット) の価格を振り返ります。2000 年頃は約 500 円で買えました。2010 年頃は約 600 円。2020 年頃は約 690 円。そして 2024 年には約 750 円です。24 年間で 500 円が 750 円になりました。1.5 倍です。

これを複利の式で計算すると、750 = 500 × (1 + r)^24 なので、r = (1.5)^(1/24) - 1 ≒ 0.017。年率約 1.7% の値上がりです。毎年 1.7% ずつ値段が上がり続けた結果、24 年で 1.5 倍。これがインフレです。

貯金箱の 500 円は 24 年後も 500 円

2000 年に 500 円を貯金箱に入れたとします。24 年後の 2024 年、貯金箱を開けると 500 円が出てきます。金額は変わっていません。でも、2000 年にはビッグマックセットが 1 つ買えた 500 円で、2024 年にはセットが買えません。750 円必要だからです。お金の「数字」は同じ 500 円なのに、「買えるもの」が減っている。これがインフレの怖さです。

銀行の普通預金に入れていた場合はどうでしょう。2000 年から 2024 年の日本の普通預金金利は年 0.001〜0.02% 程度。24 年間で増える利息は数十円です。500 円が 500 円数十銭になっただけ。インフレ率 1.7% に対して金利 0.02% では、実質的にお金の価値は毎年目減りしています。

インフレに勝つには「お金にも働いてもらう」

インフレ率 1.7% を上回る利回りで運用すれば、お金の「買える力」は維持できます。たとえば年利 5% で運用していたら、500 円は 24 年後に 500 × (1.05)^24 ≒ 約 1,610 円。ビッグマックセット 2 つ買ってもお釣りが来ます。年利 5% は、世界の株式市場の長期平均リターン (インフレ調整後) とほぼ同じ水準です。

つまり、貯金だけだとインフレに負けてお金の価値が減り続けますが、株式などに投資すればインフレを上回るペースでお金が増える可能性があります。「投資は怖い」と思うかもしれませんが、「何もしないこと」もインフレという見えないリスクを取っているのです。 お金の教育の本で、インフレと投資の関係をもっと詳しく学べます。

マクドナルドで学ぶ「ビッグマック指数」

実は、ビッグマックの価格は経済学でも使われています。イギリスの経済誌エコノミストが 1986 年に考案した「ビッグマック指数」は、各国のビッグマックの価格を比較することで、通貨の割高・割安を測る指標です。同じ商品なのに国によって価格が違うのは、為替レートや物価水準が異なるからです。次にマクドナルドに行ったとき、メニューの値段を見て「これは年率何%の値上がりだろう」と考えてみてください。日常の中に経済学のヒントは転がっています。