缶コーヒーの値段の歴史
1990 年代、自動販売機の缶コーヒーは 1 本 100 円でした。それが 2000 年代に 110 円、120 円と上がり、2024 年には 150 円前後が標準になっています。30 年で 50% の値上がりです。「たかが 50 円」と思うかもしれませんが、この 50 円の裏には複利と同じ数学が隠れています。
100 円が 30 年で 150 円になったということは、年平均の値上がり率 (インフレ率) はいくらでしょうか。複利の式で逆算すると、150 = 100 × (1 + r)^30 なので、r = (1.5)^(1/30) - 1 ≒ 0.0136、つまり年約 1.4% です。毎年たった 1.4% の値上がりが、30 年積み重なると 50% の値上がりになる。これが複利 (この場合はインフレの複利) の力です。
インフレは「逆向きの複利」- 貯金の価値が毎年削られる
複利で資産が増えるのと同じ数学で、インフレは貯金の「買える量」を毎年減らしていきます。100 万円を銀行に預けて 30 年間放置した場合、金利がゼロなら 100 万円のままです。しかし、年 1.4% のインフレが続くと、30 年後の 100 万円で買えるものは、今の約 66 万円分しかありません。お金の額面は変わらないのに、実質的な価値が 34% も目減りしているのです。
缶コーヒーで考えると分かりやすいです。今 100 万円あれば缶コーヒーが 6,667 本買えます。30 年後、缶コーヒーが 225 円 (年 1.4% で 30 年上昇) になっていたら、同じ 100 万円で買えるのは 4,444 本です。2,223 本分の購買力が消えています。銀行に預けているだけでは、インフレという「逆向きの複利」に負けてしまうのです。
インフレに勝つには「インフレ率より高い利回り」が必要
インフレ率が年 1.4% なら、最低でも年 1.4% 以上の利回りで運用しないと、実質的な資産は減り続けます。普通預金の金利 0.1% ではまったく足りません。定期預金の 0.3% でも不十分です。年利 5% のインデックスファンドなら、インフレ率 1.4% を差し引いても実質年利 3.6% で資産が成長します。インフレと資産防衛の入門書を読むと、物価上昇から資産を守る方法が体系的に学べます。
次に自動販売機でコーヒーを買うとき、「この 1 本の値段は 30 年前より 50% 高い」と思い出してください。そして、自分の貯金がその値上がりに追いついているかを考えてみてください。追いついていないなら、貯金の一部を投資に回すタイミングかもしれません。缶コーヒーの値段は、インフレという見えない複利を毎日教えてくれる身近な教材です。