FIFO と LIFO の基本的な仕組み

先入先出法 (FIFO: First In, First Out) は、最も古く取得したものから順に売却・消費したとみなす方法です。後入先出法 (LIFO: Last In, First Out) は逆に、最も新しく取得したものから先に売却したとみなします。同じ銘柄を異なる時期・価格で複数回購入した場合、どちらの方法を採用するかで売却時の取得原価が変わり、結果として課税所得が異なります。

投資における具体的な計算例

ある株式を 3 回に分けて購入したとします。1 回目: 100 株を 1,000 円で、2 回目: 100 株を 1,200 円で、3 回目: 100 株を 800 円で取得しました。ここで 100 株を 1,500 円で売却する場合を考えます。

FIFO では最初に買った 1,000 円の 100 株を売却したとみなすため、譲渡益は (1,500 - 1,000) × 100 = 50,000 円です。一方、LIFO では最後に買った 800 円の 100 株を売却したとみなし、譲渡益は (1,500 - 800) × 100 = 70,000 円になります。同じ取引でも計算方法によって課税対象額に 20,000 円の差が生じます。

日本の証券税制での扱い

日本の証券税制では、上場株式の取得原価は原則として「総平均法に準ずる方法」(移動平均法) で計算します。つまり FIFO でも LIFO でもなく、購入のたびに平均取得単価を再計算する方式です。先ほどの例では、平均取得単価は (1,000 × 100 + 1,200 × 100 + 800 × 100) ÷ 300 = 1,000 円となり、100 株売却時の譲渡益は 50,000 円です。特定口座では証券会社がこの計算を自動で行います。

ただし、暗号資産 (仮想通貨) の場合は「総平均法」または「移動平均法」を選択でき、一度届け出た方法は原則 3 年間変更できません。米国では株式でも FIFO がデフォルトですが、特定ロット指定 (Specific Identification) を選択することで税負担を最適化する戦略が一般的です。 会計の基礎は入門書で体系的に学べます

投資判断への影響

取得原価の計算方法を理解しておくことは、税引後リターンの正確な把握に直結します。特に積立投資で同一銘柄を長期にわたって購入し続ける場合、移動平均法による平均取得単価は購入回数が増えるほど市場価格の変動を平滑化します。含み益・含み損の正確な把握と、売却タイミングの判断に活かしてください。