ビールの泡はなぜ「急に」あふれるのか

ビールをグラスに注ぐとき、最初は泡がゆっくり立ち上がります。「まだ大丈夫」と思って注ぎ続けると、ある瞬間から泡が急激に膨らんで、あっという間にグラスからあふれます。「さっきまで余裕だったのに!」という経験、ありませんか。

これは泡の中の二酸化炭素が、既存の泡を核にして新しい泡を生む「連鎖反応」が起きているからです。泡が 1 つあると、そこから 2 つの泡が生まれ、2 つの泡から 4 つ、4 つから 8 つ。泡の数が指数関数的に増えるので、最初はゆっくりに見えて、途中から爆発的に増えるのです。

複利の資産カーブもまったく同じ形

100 万円を年利 5% で運用したグラフを描くと、最初の 10 年はなだらかな上り坂です。100 万円が 163 万円になるだけ。「10 年で 63 万円? 微妙だな」と感じます。でも、20 年目には 265 万円、30 年目には 432 万円、40 年目には 704 万円。後半になるほどカーブが急になり、まるでビールの泡があふれるように資産が膨らみます。

最初の 10 年で増えた 63 万円と、31〜40 年目に増えた 272 万円。同じ 10 年間なのに、増加額は 4.3 倍です。これが「複利は後半に効く」と言われる理由です。ビールの泡と同じで、最初のゆっくりした時期を我慢できるかどうかが勝負の分かれ目です。こだわりのクラフトビールを飲みながら、泡の膨らみ方を観察してみてください。

「まだ大丈夫」が一番危ないのも同じ

ビールの泡で「まだ大丈夫」と油断するとあふれるように、借金の複利でも「まだ大丈夫」が命取りになります。リボ払いの残高が 10 万円のうちは利息も月 1,250 円程度 (年 15%)。「大したことない」と思って使い続けると、残高が 50 万円、100 万円と膨らみ、利息だけで月 1 万円を超えます。泡があふれてからでは手遅れです。

複利は味方にすれば資産を膨らませ、敵に回せば借金を膨らませます。どちらも「最初はゆっくり、後から急に」という同じカーブを描きます。次にビールを注ぐとき、泡の膨らみ方を見て「これが複利か」と思い出してください。そして、自分の資産がこの泡のように膨らむ側にいるか、借金がこの泡のように膨らむ側にいるかを確認してみてください。