11 歳で初めて株を買った少年の 80 年
ウォーレン・バフェットは 1930 年生まれで、11 歳のときに初めて株式を購入しました。Cities Service の優先株を 1 株 38 ドルで 3 株買い、株価が 40 ドルに上がった時点で売却して 5 ドルの利益を得ました。しかし、その後 Cities Service の株価は 200 ドルまで上昇しました。バフェットはこの経験から「買ったら長く持つ」という教訓を得たと語っています。11 歳にして複利の本質、つまり「時間を味方につける」ことの重要性を体感したのです。
バフェットの資産推移を年齢別に追うと、複利の「後半戦の爆発力」が鮮明に浮かび上がります。14 歳で約 5,000 ドル、21 歳で約 2 万ドル、30 歳で約 100 万ドル、39 歳で約 2,500 万ドル、47 歳で約 6,700 万ドル。ここまでの 36 年間で約 6,700 万ドルです。そして 52 歳で約 3.76 億ドル、59 歳で約 38 億ドル、66 歳で約 170 億ドル、72 歳で約 360 億ドル、83 歳で約 585 億ドル、93 歳で約 1,300 億ドルに達しています。
数字が語る真実 - なぜ 99% が後半に集中するのか
バフェットの 2024 年時点の純資産は約 1,300 億ドルです。50 歳時点の資産は約 3.76 億ドルでした。つまり、資産の 99.7% は 50 歳以降に形成されています。さらに言えば、60 歳時点の約 38 億ドルと比較しても、資産の 97% は 60 歳以降に築かれています。80 年以上の投資人生のうち、資産の大部分は最後の 30〜40 年に集中しているのです。
これは複利の数学的性質そのものです。年利 20% (バフェットの長期平均リターンに近い数字) で運用した場合、資産が 2 倍になるのに約 3.6 年かかります。30 歳から 50 歳までの 20 年間で約 5.6 回の倍増 (約 38 倍)、50 歳から 90 歳までの 40 年間で約 11.1 回の倍増 (約 2,190 倍) が起きます。後半 40 年の倍増回数は前半 20 年の 2 倍ですが、倍増の効果は指数関数的に拡大するため、資産額の差は桁違いになります。
バフェットが「普通の人」だったら - 65 歳引退シミュレーション
モーガン・ハウゼルの著書で指摘されている興味深い思考実験があります。もしバフェットが 30 歳で投資を始め、65 歳で引退して資産を取り崩していたら、彼の最終資産はどうなっていたか。30 歳時点の 100 万ドルを年利 22% (バフェットの実績に近い数字) で 35 年間運用すると、65 歳時点で約 11.6 億ドルです。十分に巨額ですが、実際の 1,300 億ドルの 1% にも満たない金額です。
バフェットの資産が桁外れに大きい理由は、投資の腕前だけではありません。11 歳から 90 歳を超えた現在まで、80 年以上にわたって複利を途切れさせなかったことが決定的な要因です。年利 22% という驚異的なリターンを達成した投資家は他にもいます。ジム・サイモンズのメダリオン・ファンドは年利 66% という記録を残しています。しかし、サイモンズが運用を始めたのは 50 歳で、運用期間はバフェットの半分以下です。複利において、リターンの高さと運用期間の長さは掛け算の関係にあり、バフェットは後者で圧倒的な優位を持っているのです。バフェットの投資哲学を学べる書籍は数多く出版されていますが、彼の成功の最大の秘訣が「時間」であることを見落とさないでください。
「まだ間に合う」の数学的根拠
バフェットの事例を見て「自分には 80 年の投資期間がない」と落胆する必要はありません。バフェットほどのリターンは不要です。年利 5% のインデックスファンドでも、複利の後半戦の爆発力は十分に発揮されます。毎月 5 万円を年利 5% で積み立てた場合、20 年目の資産は約 2,055 万円、30 年目は約 4,161 万円、40 年目は約 7,630 万円です。20 年目から 30 年目の 10 年間で約 2,106 万円増え、30 年目から 40 年目の 10 年間で約 3,469 万円増えます。後半の 10 年間の増加額は前半の 10 年間の 1.6 倍です。
40 歳から始めても 65 歳まで 25 年あります。毎月 5 万円を年利 5% で 25 年間積み立てると約 2,977 万円です。50 歳からでも 15 年で約 1,336 万円。「遅すぎる」ということはありません。ただし、バフェットの事例が教えるように、1 年でも早く始めるほど複利の後半戦の恩恵は大きくなります。
バフェットの忍耐を自分の投資に活かすネクストアクション
バフェットから学ぶべき最大の教訓は「売らない」ことです。バフェットはコカ・コーラ株を 1988 年に購入して以来、36 年以上保有し続けています。複利計算ツールに自分の積立条件を入力し、10 年後、20 年後、30 年後の資産推移グラフを確認してください。グラフの後半が急激に立ち上がるカーブを見れば、「途中で売る」ことがいかにもったいないかを実感できるはずです。複利の後半戦に到達するために必要なのは、天才的な銘柄選びではなく、暴落が来ても売らない忍耐です。