日本のタンス預金は 100 兆円

日本銀行の統計によると、家庭に眠っている現金 (タンス預金) は推定 100 兆円以上と言われています。国民 1 人あたり約 80 万円。「銀行に預けても利息がつかないから」「いつでも使えるように手元に置いておきたい」という理由で、多くの人が現金を自宅に保管しています。

でも、タンス預金には大きな落とし穴があります。額面は変わらなくても、インフレによって「買えるもの」が毎年減っていくのです。これは「見えない税金」のようなものです。

100 万円のタンス預金は 30 年後に 67 万円の価値

インフレ率が年 2% の場合、100 万円の実質価値は毎年 2% ずつ減ります。10 年後: 100 万 × (0.98)^10 ≒ 82 万円。20 年後: 約 67 万円。30 年後: 約 55 万円。額面は 100 万円のままですが、30 年後に買えるものは今の 55 万円分しかありません。45 万円分の購買力が、何もしないうちに消えています。

100 兆円のタンス預金全体で考えると、年 2% のインフレで毎年 2 兆円の実質価値が失われている計算です。日本全体で毎年 2 兆円が「蒸発」している。これがタンス預金の本当のコストです。

タンス預金 vs 銀行預金 vs 投資信託

100 万円を 30 年間、3 つの方法で保管した場合を比べましょう (インフレ率 2% を考慮した実質価値)。タンス預金: 実質 55 万円 (45 万円の損失)。銀行預金 (年利 0.1%): 実質 56 万円 (利息で 3 万円増えるが、インフレに負ける)。投資信託 (年利 5%): 実質 240 万円 (インフレを差し引いても 2.4 倍に成長)。家庭用の金庫に現金を保管するなら、必要最小限にとどめましょう。

タンス預金が必要なのは、災害時や銀行のシステム障害に備える「緊急用の現金」だけです。目安は生活費の 1〜2 週間分 (5〜10 万円程度)。それ以上の現金を家に置いておくのは、毎年インフレという「見えない泥棒」にお金を盗まれているのと同じです。タンスの中のお金を、複利が働く場所に移してあげてください。