資産寿命という概念
資産寿命とは、退職後に保有資産を取り崩しながら生活した場合に、資産がゼロになるまでの年数です。金融庁の 2019 年報告書で「老後 2,000 万円問題」が話題になりましたが、本質的な問題は金額ではなく「資産寿命が生命寿命より先に尽きるリスク」です。日本人の平均寿命は男性 81 歳、女性 87 歳ですが、90 歳まで生存する確率は男性で約 28%、女性で約 52% あります。資産寿命を 90 歳以上に設計することが、安心な老後の基盤です。
資産寿命を決める 3 つの変数
資産寿命は「退職時の資産額」「年間取り崩し額」「運用利回り」の 3 つで決まります。退職時に 3,000 万円、年間取り崩し 180 万円 (月 15 万円)、運用利回り 0% なら資産寿命は約 16.7 年 (81-82 歳で枯渇)。同じ条件で年利 3% で運用を続ければ約 22 年 (87 歳まで)、年利 5% なら約 30 年以上 (95 歳超) に延びます。退職後も適切なリスクで運用を続けることが、資産寿命を延ばす最も効果的な手段です。
公的年金との組み合わせ
日本の公的年金は終身給付であり、生きている限り受け取れます。つまり公的年金の「資産寿命」は無限大です。年金受給額で基本的な生活費をカバーし、不足分を金融資産から取り崩す設計にすれば、金融資産の取り崩し額を抑えられます。年金の繰下げ受給 (最大 75 歳まで) を活用すると、1 カ月あたり 0.7% ずつ受給額が増加し、75 歳まで繰り下げれば 65 歳時点の 84% 増になります。繰下げ期間中の生活費を金融資産で賄い、その後は増額された年金で生活する戦略は、資産寿命を大幅に延ばします。 老後資金の計画は専門書で学べます
資産寿命を延ばす実践的な方法
取り崩し率を柔軟に調整すること、退職後もリスク資産 (株式) を一定割合保有すること、年金の繰下げ受給を検討すること、住居費や保険料など固定費を見直すこと。これらを組み合わせることで、資産寿命は大きく延びます。モンテカルロ・シミュレーションで自分の資産寿命を確率的に把握し、定期的に計画を見直す習慣が重要です。