ケリー基準とは
ケリー基準は、1956年にベル研究所のジョン・ケリーが情報理論の文脈で導出した公式で、長期的な資産成長率を最大化する最適な賭け金の比率を示します。公式は f* = (bp - q) / b で、b はオッズ (勝った場合の倍率)、p は勝率、q は負ける確率 (1-p) です。勝率60%、オッズ1:1の賭けなら、f* = (1×0.6 - 0.4) / 1 = 20%、つまり資金の20%を賭けるのが最適です。
投資への応用
ケリー基準は、エドワード・ソープがブラックジャックのカード・カウンティングに応用し、その後ヘッジファンド運用にも適用したことで投資の世界に広まりました。株式投資では、期待リターンとリスクからケリー比率を算出し、ポートフォリオの何%をその銘柄に配分すべきかの目安にします。ただし、フルケリー (100%の比率) は変動が極めて大きいため、実務では「ハーフケリー」(ケリー比率の半分) を使うのが一般的です。
ケリー基準の限界
ケリー基準の最大の弱点は、勝率とオッズが正確に分かっていることを前提としている点です。カジノのゲームと違い、投資では確率が不確実です。期待リターンを過大評価すると、ケリー基準は過大なポジションを推奨し、破滅的な損失につながります。また、ケリー基準は長期的な成長率の最大化を目的としており、途中の変動 (ドローダウン) は考慮しません。実務では、ケリー比率の25-50%に抑えることで、推定誤差に対する安全余裕を確保します。