お年玉の相場を振り返る

お正月にもらうお年玉。小学生で合計 1〜2 万円、中学生で 2〜3 万円、高校生で 3〜5 万円が一般的な相場です。仮に 6 歳から 18 歳までの 13 年間、毎年平均 2 万円のお年玉をもらったとすると、総額は 26 万円です。「たった 26 万円」と思うかもしれませんが、この 26 万円の行方が、大人になってからの金銭感覚を大きく左右します。

多くの家庭では「お年玉は貯金しなさい」と言われます。子どもにとっては退屈な話ですが、親の言葉には一理あります。問題は「どこに貯金するか」です。銀行の普通預金に入れるのと、投資に回すのとでは、結果がまったく違います。

パターン 1: 銀行預金に入れた場合

毎年 2 万円を銀行の普通預金に入れたとしましょう。現在の普通預金金利は年 0.1% 程度です (2025 年時点)。13 年間で元本 26 万円に対して、利息はわずか約 1,700 円です。26 万 1,700 円。お年玉を 13 年間コツコツ貯めた結果がこれです。利息でジュースが 10 本買える程度。正直、ワクワクする数字ではありません。

しかし、1990 年代前半の普通預金金利は年 2% 前後ありました。同じ条件で年利 2% なら、13 年間で約 29.5 万円になります。利息は約 3.5 万円。お年玉 1 年分以上の利息がつきます。「お年玉は貯金しなさい」というアドバイスは、金利が高かった時代には実感を伴う教えだったのです。金利がほぼゼロの現代では、預金だけでは複利の恩恵をほとんど感じられません。

パターン 2: 投資信託に入れていた場合

もし毎年のお年玉 2 万円を、年利 5% のインデックスファンドに投資していたらどうなるでしょうか。13 年間の積立で、元本 26 万円が約 36.4 万円に成長します。運用益は約 10.4 万円。預金の 1,700 円と比べると 60 倍以上の差です。

さらに面白いのは、18 歳で積立をやめた後も運用を続けた場合です。36.4 万円を年利 5% で放置すると、30 歳で約 65 万円、40 歳で約 106 万円、50 歳で約 173 万円になります。子ども時代のお年玉 26 万円が、50 歳で 173 万円。元本の 6.7 倍です。「お年玉は投資しなさい」が現代版の正解かもしれません。お金の貯め方の入門書を親子で読むと、お年玉の使い道を一緒に考えるきっかけになります。

お年玉で学べる「お金の時間価値」

お年玉の話が面白いのは、子どもにとって「自分のお金」だからです。教科書の 100 万円の話より、自分がもらった 2 万円の話のほうがリアルに感じます。「今年のお年玉 2 万円を使わずに投資したら、大学卒業する頃にはいくらになっている?」という問いかけは、複利を体感的に理解する最高の教材です。

もちろん、お年玉を全額貯金・投資する必要はありません。半分は好きなものを買い、半分は将来のために取っておく。この「使う」と「貯める」のバランス感覚こそ、お年玉から学べる最も大切な金融リテラシーです。次のお正月には、お年玉の一部を複利計算ツールに入力して、10 年後の金額を子どもと一緒に確認してみてください。