日本市場における積立 vs 一括の歴史的検証
米国市場では「一括投資のほうが積立投資より有利」というデータが多く紹介されますが、日本市場では事情が異なります。日経平均株価は 1989 年末の 38,915 円をピークに長期低迷し、この水準を回復したのは 2024 年です。1990 年に一括投資した場合、元本を回復するまでに約 34 年かかった計算になります。
一方、1990 年から毎月 3 万円を日経平均連動のインデックスファンドに積み立てた場合、ドルコスト平均法の効果で平均取得単価が下がり、2013 年頃にはすでに含み益が出ていたとされます。バブル崩壊の直後という不利な時期に始めても、積立投資では約 23 年で黒字化した計算になります。
数値シミュレーション - 開始時期別の比較
開始時期の違う 2 つの例で比較してみましょう。1990 年 1 月に 1,080 万円を一括投資した場合と、同月から毎月 3 万円を 30 年間 (合計 1,080 万円) 積み立てた場合を比較します。一括投資は 2020 年 1 月時点でも元本を下回り、積立投資は元本を上回ったとされます。同じ投資総額でも、結果に大きな差が生じたことになります。
一方、2012 年 1 月 (アベノミクスの前) から 2022 年 1 月までの 10 年では、一括投資が積立投資を上回ったと考えられます。右肩上がりの局面では、資金を早く市場に投入する一括投資のほうが有利になる傾向があります。つまり、どちらが優れているかは市場環境次第であり、一概には言えません。
積立投資が有利になる市場環境
積立投資が一括投資を上回るのは、投資開始後に大きな下落があり、その後回復するパターンです。下落局面で安く多くの口数を買えるため、回復時のリターンが大きくなります。日本のように長期間のボックス相場や下落トレンドを経験した市場では、積立投資が有利になる場面が多かったとみられます。
ただし、右肩上がりの市場では一括投資のほうが有利です。資金が早く市場に投入されるため、複利効果を長く享受できます。将来の市場動向は誰にも予測できないため、まとまった資金がある場合は「半分を一括投資、残り半分を 6〜12 ヶ月かけて積立投資」という折衷案も合理的です。
全世界分散で日本市場リスクを軽減
日本市場だけに投資するのではなく、全世界株式インデックスに積み立てることで、特定の国の長期低迷リスクを分散できます。全世界株式の長期の年平均リターンは 7% 前後とされます。
全世界株式に月 3 万円を 30 年間積み立てた場合、年利 7% なら最終資産額は約 3,660 万円です。日経平均連動 (年利 3% と仮定) の場合は約 1,748 万円で、差額は約 1,912 万円に達します。利率の差は、期間が長いほど大きな金額の差になります。
手元資金の有無で積立か分割かを決める
まとまった資金がない場合は、毎月の積立投資を始めましょう。月 1 万円からでも十分です。まとまった資金がある場合は、リスク許容度に応じて一括投資と積立投資を組み合わせるのが現実的です。たとえば 300 万円の余裕資金があるなら、150 万円を即座に投資し、残り 150 万円を 12 ヶ月かけて毎月 12.5 万円ずつ積み立てる方法が考えられます。
当サイトのシミュレーターで、異なる利率 / 期間での積立結果を比較してみてください。自分の投資可能額と期間を入力すれば、将来の資産額の目安がわかります。数字は、戦略を選ぶときの材料になります。