デュレーションの定義と 2 つの意味
デュレーション (duration) には 2 つの意味があります。1 つ目はマコーレー・デュレーションと呼ばれ、債券のキャッシュフロー (利息と元本) を受け取るまでの加重平均期間を年数で表したものです。たとえば残存期間 10 年・クーポン 3% の国債のマコーレー・デュレーションは約 8.5 年になります。クーポンが高いほど早期にキャッシュフローを回収できるため、デュレーションは短くなります。
2 つ目は修正デュレーションで、金利が 1% 変動した際に債券価格が何%変動するかを示す感応度指標です。修正デュレーションが 7 の債券は、金利が 1% 上昇すると価格が約 7% 下落します。実務で「デュレーション」と言えば、多くの場合この修正デュレーションを指します。
具体的な数値例で理解する
額面 100 万円、クーポン 2%、残存 5 年の債券を考えます。毎年 2 万円の利息を受け取り、5 年目に元本 100 万円が返済されます。各キャッシュフローの現在価値で加重平均すると、マコーレー・デュレーションは約 4.7 年です。市場金利が 2% の場合、修正デュレーションは 4.7 ÷ (1 + 0.02) ≒ 4.6 となります。つまり金利が 1% 上昇すると、この債券の価格は約 4.6% 下落する計算です。
一方、同じ残存 5 年でもクーポン 0% のゼロクーポン債は、マコーレー・デュレーションが残存期間そのもの (5 年) に等しくなります。クーポンがないため途中のキャッシュフローがなく、すべてのリスクが満期時点に集中するためです。
ポートフォリオ管理での実務的な活用
年金基金や保険会社は、負債のデュレーションと資産のデュレーションを一致させる「デュレーション・マッチング」を行います。たとえば 20 年後に支払い義務がある年金負債に対して、デュレーション 20 年の債券ポートフォリオを組むことで、金利変動による資産と負債のミスマッチを抑制します。2022 年の英国年金危機では、金利急騰によりデュレーションの長い債券が暴落し、LDI (負債連動投資) 戦略を採用していた年金基金が追証に追い込まれました。デュレーション管理の重要性を示す象徴的な事例です。 債券投資の実務書でさらに詳しく学べます
個人投資家が押さえるべきポイント
個人投資家にとってデュレーションが重要になるのは、債券ファンドや債券 ETF を選ぶ場面です。短期債ファンド (デュレーション 1-3 年) は金利上昇局面でも価格変動が小さく、長期債ファンド (デュレーション 10 年超) は金利低下局面で大きなキャピタルゲインが期待できます。自分の投資期間と金利見通しに合わせてデュレーションを選択することが、債券投資の基本戦略です。